2011年6月15日水曜日

愛を乞う人




私は会社勤めをしていた頃は、直属の部下として300名ほどを抱えていました。その後も 仕事で多くの人と関わってきました。

何千人の人と関わってきました。
トップからアルバイトの方々まで、階層に関係なくいえることは、どんなに長所があっても、その人の弱点に引っぱられて、それが限界になっていることを強く感じます。

でもだからこそ生きることも働くこともすばらしいのだと思います。

先日「愛を乞う人」という映画をビデオで鑑賞しました。

この映画のような環境で育った方は5%はいるんじゃないでしょうか?
ここまで極端でない人になると、つかまえようのない数字になります。
むしろ、なにも問題のない家庭で育った方の方が少ないわけです。

でも、だからこそ、性格に依存しない仕事の仕方を求めていきたいと、その研究がいつしかライフワークになりました。





仕事をする上で、性格は重要になります。
ある人には出来ることが出来ないとというようなことが起ってきます。
人格の問題がトラブルになることは少なくありません

いろんな人を使って行く訳ですから、特に管理者は大変です、
人格や性格の問題にぶつかりながら、それが問題 にならない仕事の仕方を求めています。
そうすれば少しでも働きやすい、しかも効率のいい、周囲の人を少しでも多く幸福にできる仕事の仕方があります。

私は管理者の方にぜひ 「愛を乞う人」を見ていただきたいと思っています。
人はいろいろなんだと知っていただきたい。

先日も、ヒステリックな女性に悩んでいると相談を受けました。ヒステリー症状で、話にならない、みんなも敬遠するし、だけど生活状況を考えると辞めさすのも酷だと思い、どうしたらいいのか困っているとのことです。

女性は一流大学を卒業しています。読み書きはできるわけですし、考えることもできるのだから、正面切って話しなさいと管理者の方にアドバイスしました。
内心、そう簡単にはいかないと思いながらも、ひとまず、前に進むように促しました。

その女性は不安なんですよね。いつ自分がどうなるか分からないと思っている。
まず安心させてやるには、管理者の方の正直な思いを伝えることが先決だと思いました。
どこまでも続くかも知れません。しかし会社は学校ではないのだから、いつまでも個人の性格にふりまわされるわけにはいきません。
その問題の女性以上に困難な状況でも、黙々と働いている人もいるはずなのだから。

だからこそ、自分の思いを早く伝えて、いい方向に変えていくべきだと思いました。
だけど生活状況を考えると辞めさすのも酷だと思う優しさをぶつけていけば、必ず通じると信じています。
彼女が求めているのはそれだからです。
でも優しさだけでは仕事はできません。目標が達成できる技術が必要です。
それを教えるのが本当の優しさです。



愛を乞う人  (DVDはこちらから購入できます

製作年 : 1998年(日本)
配給 : 東宝配給

下田治美の同名小説を映画化。キネマ旬報ベストテン第1位および主演女優賞、国内のみならず、モントリオール映画祭では国際批評家連盟賞と、映画賞を総なめしている傑作。
悲惨な幼児虐待の記憶から逃げていた娘が50年後に、過去に対峙していく母と娘のドラマ。
わざとらしさが演出にも映像にもなく 淡々と描きながら見る者を釘付けにする傑作。

《監督》 平山秀幸
《出演》 原田美枝子、野波麻帆、小日向文世、熊谷真実


愛を乞う人  (本はこちらで購入できます) 原作 下田治美(角川文庫)


2011年6月4日土曜日

彼の身に起こった気の毒は。

 全く菅内閣と民主党の現況に対して尋常でない行動には呆れる。

機能不全な家庭で育ったリーダーで真っ先に思い浮かべるのはヒトラーだ。彼はとても気の毒な人だった。しかし彼が一国のリーダーになることによって、彼の身に起こった気の毒は、ウイルスのように蔓延して歴史上最悪の事件に発展した。

努力したら報われると信じたい。しかしサンタクロースがいないように、その希望が幻想になることは多い。
幻想を幻想にしないためには、現実を認めることが唯一の出発点にすることだ。

機能不全の家庭に育った人は多い。確信を持って言い切れることだ。それを恥じることはない。

なぜなら親になる前に自分を知り、人を知り、世の中の道理に関心を持った人は少なく、未熟なまま家庭を持ち、親になった人が多いからだ。

機能不全というのはよくあることなのだ。機能している家庭よりも機能していない家庭のほうが多いように思われる。

それを認めることが、機能的な家庭を発展させる出発点だ。

しかし、余程酷い場合を除いて自分の家庭が機能していない家族だと認識していることも、することも少ない。つまり、自分を知らず、親を知らず、家族を知らずに、「こんなものだろう」と思い込んで暮らしている人が多いのだ。

少しヘンだと思い始める動機がある。ほとんど主導権争いから気づく。コントロールする、あるいはされることから、コミュニケーション不全が起こり、なにかヘンだ。普通ではないと思うことから気づき始める。最初はそれがなにか分らない。そこで友人に相談する。しかし解決することは稀だ。現象から、真の問題を発見をできないと、もぐら叩きになるのがオチだ。それにふさわしい知識も知恵もないのが一般的だからだ。

幼いころを振り返ってみるといい。両親のケンカは機能不全を探るヒントになる。
こどもにとって両親のケンカは悲しいもので、つらいだけでなく、生の不安そのものになる。しかし親のほうにしたら大したことがなくても、そうはいかない。挙句の果てに仲直りのセックスに触れると子供は恐怖に苛まれトラウマになることだってある。

幼い時の誰にも言えない恐怖体験は、心に沈殿して成人してからの奇異な行動の原因になる。

成長のプロセスからトラウマになることを体験することもあれば、逆に大人の世界で行聞を読む力を養う訓練になることもある。たとえば全く不愉快な民主党の詐欺師事件のようなことが起こるのは行間を読む力の不足だが、このようなミスを防ぐ「危機管理能力」が育まれるのだ。辛い体験はビジネスに有効に発揮する力になるメリットもある。

愛情に対する意識にもいい影響がある。率直に言葉にして伝える大切さを知っていることが多いからだ。しかし恥ずかしがっていえないことも多い。つまり感受性が強いので、逆に隠そうと躍起になって奇異な行動になることも少なくないのだ。
本来持ち合わせているメリットをデメリットに変えないキーワードは素直であること、自分に誠実であることだ。

人はみんな違う。愛の言葉を表現するとヘンな目でみられることもあるし、告白すると怪しまれることもある。しかし、人が人を愛することは励ましそのものだ。それを悪いと思うことはないのだ。邪悪な下心があるから率直さを失うのだ。悪い奴はそれを逆手にとって弄ぶ。そんなことにならないためにも、素直であるべきだ。

機能不全の家庭に育った人は多い。一生がそれとの戦いになる人も少なくない。やりたいことができないエネルギーになる。全くいまの政治状況と同じだ。震災からの復興をしなければいけないときに、機能不全な人は、あるいは機能不全な人がリーダーの組織は、あるいは機能不全な人が多い組織は、エネルギーが散漫してしまい、復興に全力を注げない。

自分は機能不全な人だと認めるなら、なによりもやりたいことにエネルギーを注ぐことだ。機能不全な人だから夢を見るのだ。